海上輸送の方法として、ばら積み船・タンカー船・自動車船・コンテナ船など様々な構造の船があります。
その中でも、一般的に広く知られているコンテナ船は日用品から工業貨物、食料品まで様々な貨物を輸送しています。コンテナの種類やサイズもいくつかあり、貨物サイズや使用用途に合わせて選ぶコンテナは異なってきます。
ここでは、コンテナの種類・サイズやその注意点など、コンテナに関わる情報を紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください!
<コンテナの種類とサイズについて>
◆ドライコンテナ(Dry Container)
ドライコンテナは最も普及している一般的なコンテナで、20ftと40ftが海上コンテナの主流となっています(※)。 40ftドライコンテナには、高さの高いハイキューブコンテナと呼ばれるコンテナもあります。
40DRYコンテナは、高さが8ft6in であることから、「8’6(ハチロク)コンテナ」 、40HCコンテナは高さが9ft6in であることから「9’6(キュウロク)コンテナ」と呼ぶこともあります。
「DRY」の代わりに「GP (General Purpose)」 と記載されることもあります。
外板はスチール製ですが、床面にはクロスメンバーと呼ばれる骨材の上に合板が敷かれています。
それ故、重機を使っての荷役や重量物輸送には細心の注意が必要です。
ちなみに40DRYと40HCはコンテナ上部のマークと、三角のマークによって見分けることができます。
※45ftのコンテナも存在しますが、日本ではあまり普及しておりません。
種類 (Type) |
外法寸法 (External Dim)(mm) |
内法寸法 (Internal Dim)(mm) |
内容量 (Interior Cap)(m3) |
扉開口寸法 (Door Open) |
自重 (Tare Weight)(kg) |
最大積荷重量 (Payload) (kg) |
最大総重量 (Gross Weight) (kg) |
20’DRY | L:6,058 W:2,438 H:2,591 |
L:5,898 W:2,350 H:2,390 |
33.1 | W:2,340 H:2,280 |
2,200 | 28,280 | 30,480 |
40’DRY | L:12,192 W:2,438 H:2,591 |
L:12,032 W:2,350 H:2,390 |
67.6 | W:2,340 H:2,280 |
3,740 | 26,740 | 30,480 |
40’HC | L:12,192 W:2,438 H:2,896 |
L:12,032 W:2,350 H:2,695 |
76.2 | W:2,340 H:2,585 |
3,830 | 26,650/28,670 | 30,480/32,500 |
上記コンテナの長さ・高さ・重さなどは参考値で、各コンテナ製造メーカーや船会社によって若干異なります。
詳細は都度確認する必要があります。
◆冷凍・冷蔵コンテナ
(Refrigerated Container <Reefer Container>)
冷凍・冷蔵ユニットを内蔵し、所定温度を保持できるコンテナで、冷凍・冷蔵貨物(食品やフィルムなどの化成品)の輸送に適しています。 また除湿機能やCA(Controlled Atmosphere)機能などの鮮度保持機能が付加された冷凍・冷蔵コンテナもあります。
冷凍・冷蔵コンテナには20ftと40ftハイキューブの2種類があります。
また、Reeferコンテナを温度設定せずに使用することもあります(As Dry)。
Reeferコンテナは通常のDryコンテナに比べて機密性が高いため、一定の温度設定は必要ないけれども、温度変化による湿気の変化(結露)を避けたい紙などにも使用できます。
種類 (Type) |
外法寸法 (External Dim)(mm) |
内法寸法 (Internal Dim)(mm) |
内容量 (Interior Cap)(m3) |
扉開口寸法 (Door Open) |
自重 (Tare Weight)(kg) |
最大総重量 (Gross Weight) (kg) |
最大積荷重量(Payload) (kg) |
20’RF | L:6,058 W:2,438 H:2,519 |
L:5,456 W:2,288 H:2,263 |
28.2 | W:2,290 H:2,221 |
2,910 | 38,480 | 27,570 |
40’RHC | L:12,192 W:2,438 H:2,896 |
L:11,590 W:2,288 H:2,544 |
67.5 | W:2,290 H:2,502 |
4,520 | 34,000 | 29,480 |
上記コンテナの長さ・高さ・重さなどは参考値で、各コンテナ製造メーカーや船会社によって若干異なります。
詳細は都度確認する必要があります。
◆オープントップコンテナ
(Open Top Container)
屋根部分を開放でき、上部からの荷役が可能なため、嵩高物、重量物の輸送に適しています。 オープントップコンテナには20ftと40ftの2種類があります。
屋根部分が鉄板になっており、はめ込むように蓋をするハードタイプと、鉄骨と防水の布で蓋をするソフトタイプがあります。 一般的にはソフトタイプが流通しています。
オープントップコンテナの屋根部分から貨物がはみ出る場合、オーバーゲージ貨物扱いとなります。
B/Lにはコンテナサイズ内に収まる場合40’OT(IG)、コンテナサイズを超える場合40OT (OH)と記載されます。
インゲージかオーバーゲージかによって、海上運賃も変わってきますのでブッキングの際に船社へ貨物サイズを伝える必要があります。
種類 (Type) |
内法寸法 (Internal Dim)(mm) |
扉開口寸法 (Door Open) |
内容量 (Interior Cap)(m3) |
屋根開口寸法 (Roof Openings) (mm) |
外法寸法 (External Dim)(mm) |
自重 (Tare Weight)(kg) |
最大総重量 (Gross Weight) (kg) |
最大積荷重量(Payload) (kg) |
20’OT | L:5,898 W:2,352 H:2,348 |
W:2,340 H:2,280 |
32.5 | L:5,397 W:2,252 |
L:6,058 W:2,438 H:2,591 |
2,200 | 30,480 | 28,300 |
40’OT | L:12,032 W:2,352 H:2,348 |
W:2,340 H:2,280 |
65.9 | L:11,531 W:2,232 |
L:12,192 W:2,438 H:2,591 |
3,800 | 30,480 | 26,800 |
上記コンテナの長さ・高さ・重さなどは参考値で、各コンテナ製造メーカーや船会社によって若干異なります。
詳細は都度確認する必要があります。
◆フラットラックコンテナ
(Flat Rack Container)
屋根部分、両側面、扉面を持たず左右および上方から荷役が可能なため、長尺物、重量物、またはコンテナ詰めできない大型貨物に適したコンテナです。 ボトムサイドレール、コーナーポスト、フロアなどに多数のラッシングリングがあり、大型貨物の固縛を強固にします。 フラットラックコンテナには20ftと40ftの2種類があります。
コンテナに守られていない分、ダメージが発生しやすいので荷扱いには十分な注意が必要です。
フラットラックコンテナから貨物がはみ出している場合、オーバーゲージ貨物としての取り扱いとなります。
- 横にオーバーしている場合(Over Width)
B/Lには「FR(OW)」の記載 - 高さがオーバーしている場合(Over High)
B/Lには「FR(OH)」の記載 - 横も高さもオーバーしている場合(Full Void)
B/Lには「FR(FV)」の記載
縦はコンテナ部分があるのでオーバーできません。 また、コンテナ部分から最低でも前後50cm程のスペースを空ける必要がありますので注意が必要です。
フラットラックの海上運賃はデッドスペースによって換算されます。
例えば、横・高さともにはみ出しているフルボイドの場合、横にはみ出ているためこのコンテナの左右、上部に貨物を積載することができません。 そのため、その分の運賃が加味されたうえで運賃が算出されます。
フルボイドは積載できる場所が限られているため、混雑時はスペースの確保が難しい場合があります。 早めにブッキングを入れるようにしましょう。
また、公道を走れる高さ・幅は法律で決まっているので、トラックに載せた際に規定内に収まるのか事前に確認する必要があります。
種類 (Type) |
内法寸法 (Internal Dim)(mm) |
外法寸法 (External Dim)(mm) |
Deck Height (mm) |
自重 (Tare Weight)(kg) |
最大総重量 (Gross Weight) (kg) |
最大積荷重量(Payload) (kg) |
20’FR | L:6,038 (Between end panels) L:5,638 (Between corner posts) W:2,226 H:2,233 |
L:6,058 W:2,438 H:2,591 (Normal Height) |
358 | 2,700 | 34,000 | 31,100 |
40’FR | L:12,176 (Between end panels) L:11,776 (Between corner posts) W:2,230 H:1,955 |
L:12,192 W:2,438 H:2,591 (Normal Height) |
636 | 5,200 | 45,000 | 40,000 |
上記コンテナの長さ・高さ・重さなどは参考値で、各コンテナ製造メーカーや船会社によって若干異なります。
詳細は都度確認する必要があります。
◆タンクコンテナ(Tank Container)
鋼製フレーム内にタンクを格納した構造となっており、液体化学薬品、液体ガス、原酒、醤油、食料品、などの液体貨物の輸送に適したコンテナとなっております。
危険物をタンクコンテナで輸送する場合は、原則として充填率80%以上、95%以内に収める規定(IMDG)があります。
なお、海上輸送用コンテナにはCSC条約(※)に基づき必ずCSC安全承認板(CSC Plate)が取り付けられ、コンテナの所有者、タイプ、サイズ、コンテナナンバーが一目瞭然に分かるようになっています。 このCSC安全承認板(承認期限内)が無いと海上輸送用として使用することができません。
※CSC条約:1972年にジュネーブの国連欧州本部で採択された安全なコンテナに関する国際条約(International Convention for Safe Containers, 1972)
種類 (Type) |
長さ(Length)(mm) | 幅(Width)(mm) | 高さ(Hight)(mm) | 自重(Tare weight)(kg) |
11KL | 6,050 | 2,440 | 1,980 | 2,800 |
13KL | 6,050 | 2,440 | 1,980 | 2,910 |
14KL | 6,050 | 2,440 | 1,980 | 2,980 |
21KL | 6,050 | 2,440 | 2,590 | 3,420 |
24KL | 6,050 | 2,440 | 2,590 | 3,540 |
26KL | 6,050 | 2,440 | 2,590 | 3,890 |
上記コンテナの長さ・高さ・重さなどは参考値で、各コンテナ製造メーカーや船会社によって若干異なります。
詳細は都度確認する必要があります。
<コンテナに関わるその他の情報>
SOCコンテナ(Shipper’s Own Container)
荷主が購入やリースなど、ご自分で用意したコンテナのことです。 船会社へのブッキングの際には、スペースだけを確保します。
フリータイム
船会社が定める、コンテナの保管料・返却料のかからない猶予期間のこと。 船会社によって起算日や計算方法は違い、フリータイム終了後は超過日数によって保管料・延滞料がかかります。
フリータイムの延長については、申請して延長してもらえる場合もありますがコンテナ状況や船社の方針によってNGとしているところもあります。
フリータイムの延長は基本、積地側(ブッキング地)で延長してもらう必要があります。 フリータイムの延長が必要な場合はブッキング時に事前に確認するのがベターです。
※危険品やReeferの場合、ドライコンテナの場合と保管できる日数や超過料金が違う場合があります。
デマレージ(コンテナ超過保管料)
コンテナヤードで規定のフリータイムを超えた場合に発生する超過料金のことです。
デマレージを発生させないためには、実入りコンテナをコンテナヤード(CY)からフリータイム内に搬出する必要があります。
フリータイムを確認する際は、起算日・カウント方法の確認も必要です。
(着岸日起算、陸揚げ起算、営業日カウント、土日祝もカウント…など船社によって様々です)
デマレージは非課税対象となります。
ディテンション(コンテナ返却延滞料)
実入りコンテナがCYから搬出されてから、空コンテナを CY へ返却するまでにフリータイムを超過した場合に発生する費用のことです。
起算日・カウント数は、船社によって異なります。
(CY搬出日当日から起算、CY搬出翌日から起算、営業日カウント、土日祝もカウント…など船社によって様々です)
ディテンションは課税対象となります。
なお、デマレージとディテンションがコンバインされているときもあります。その場合は積地側から起算日やカウント方法について確認してもらいましょう。
<最適なコンテナを選んで出荷しましょう>
コンテナについてのご紹介は以上になります。
いかがでしたでしょうか?
最初にも挙げた通り、コンテナは貨物サイズや使用用途に合わせて選ぶ必要があります。
特殊コンテナの輸送は、確認事項が通常と異なったり、注意するべきことが多くありますので経験豊富なフォワーダーに依頼することをおすすめいたします。
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