日本は世界的にみて荷扱いが丁寧と言われていますが、海外では荷扱いが雑な国も多々あります。
貨物ダメージを防止するという面において、輸送する商品に適した梱包をすることがとても大切になります。
今回は国際輸送の梱包の種類から、梱包に関連して覚えておきたい事を説明していきます。
<ダメージリスクを減らすために>
荷主で梱包してもらい、弊社指定の倉庫へ搬入してもらった場合、輸送に適した状態でないことがあります。
国際輸送の梱包はただただ製品を包めば良いというものではありません。
人が持ち上げられない貨物については、フォークリフトや機材で運ぶことができるように工夫する必要があるのです。
また、航空貨物や海上混載貨物の運賃算出方法が重量勝ちの場合、重くなるほど輸送費用が高くなることがあるため、少しでも安価にするために輸送に耐えられない簡易梱包になってしまう事があります。
輸送に適していない梱包はダメージを招くだけでなく、納期遅延などのトラブル、保険求償の対応、代替品の出荷など、かえって費用が高くなるリスクを引き起こします。
<梱包の種類と特徴について>
ここからは梱包の種類と、どんな貨物がそれに適しているのか紹介していきます。
・カートン(Carton)
段ボール梱包の事です。小さく軽い貨物や、ダメージリスクが少ない頑丈な貨物に適しています。
中には強化段ボールや、危険品を輸送する際に使用するUNカートンがあります。
・ケース(Case)
木材、スチール、プラスチックなどから作られた箱のことです。手で運べないような重い物やダメージに弱い機材などの梱包に適しています。
手で運べない場合は、下駄をはかせる必要があるのは覚えておきたいポイントです。
・クレート(Crate)
中が見えるようになっている木箱の事です。
ケース梱包するほどではない機械などを輸送する際に使用します。ケースよりも使っている木材の量が少ないため、ケースよりも重さを軽くすることが可能です。
・パレット(Pallet)
フォークリフトの爪をさせる構造になっている平たい台のことです。 木材やプラスチックでできたパレットがあります。
この上に段ボールなどの貨物を積み重ねることができます。 食品やアパレルなど、様々な製品の梱包方法として幅広く利用されています。
・スキッド(Skid)
貨物の底部分に直接下駄をはかせたものや、簀の子のような台の事です。
重量物にフォークリフトで荷扱いするために製品の底部分に直接角材を付けたり、パレットのようにこの上に段ボールなどの貨物を積み重ねるように使うこともあります。
なおパレットとスキッドは混同されがちですが、一般的に両面に板面があるものをパレット、製品に直接下駄をつけたものや、片側にしか板面がないものをスキッドと呼んでいます。
・バンドル(bundle)
バンドルで固定してまとめているだけの貨物の事です。
パイプや鋼材など、ダメージを受けにくく、これから加工される資材などによく利用されています。
・ベア(Bare)
何も梱包していない裸の貨物のこと。
大型機材等、梱包ができないほど大きな製品はbareの状態で輸送されます。
・バリア梱包
アルミを使用したシートで製品を包み、密封状態にする梱包方法のことです。
密封状態にした中に乾燥剤をいれる場合もあります。水濡れ厳禁の機器や、湿気によるカビやサビを防止したい製品の梱包で利用されます。バリアで密封状態にした後、ケースやクレート、またはスキッドなどに梱包します。
<輸出梱包の際に覚えておきたい 熱処理/燻蒸処理>
木材梱包材に病害虫が付着し、輸入国に病害をもたらすことを予防するために、貨物を輸出する際には適切な処置をすることが、国際基準ISPM No.15「国際貿易における木材こん包材の規則」で定められています。
処理方法としては熱処理と臭化メチル燻蒸処理の2つの方法があります。
いずれかの方法で処理された木材は、消毒済みであることの証として、承認マークがスタンプされます。
この承認マークのスタンプがない木材梱包材は輸出できないので注意が必要です。
このスタンプの押し忘れがあった場合は、処理を行ったところに返送してスタンプを押してもらうか、処理をした方にスタンプを押しに来てもらう必要があります。
<その他、梱包の際に覚えておくと良いこと>
・下駄について
重量が形状がアンバランスの貨物は下駄の向きや位置が大切になってきます。 例えば縦50cm、横600cmの貨物があるとします。 下駄が辺の長い横方向に設置されていて、横からフォークの爪をさすことが出来ない場合、縦方向から爪を入れることになりますが、フォークの爪が貨物の一部分にしか届いておらず、安定して持ち上げることは出来ません。
貨物を安全に取り扱うためにも、特殊な形状の貨物の場合はフォークを指す位置について予め考えておくことをおすすめします。
・重心位置マークについて
梱包されたケースにこのようなマークが付いているのを見たことはありますでしょうか?
これは重心位置マークと呼ばれており、貨物の重心がどこにあるのかを示しています。 一般的に、このマークがない貨物は真ん中を重心として考えます。
ケース梱包されていると中の製品を見ることができないため、どんな形状なのか、また重心が偏っているか知ることができません。 そのため、安全に貨物を取り扱ってもらうために梱包したケースにこの印をつけているのです。
この印を目印に輸送業者はフォークの爪を指したり、貨物を吊り揚げたりします。
スキッドやベアの場合は、荷扱いのために図面で重心がわかる資料をもらう場合もあります。
また、吊り上げないと荷役できないような重量物は、吊りポイントのマークが入っている場合があります。
これは重心を計算しているのはもちろん、吊り上げた際に箱が破損しないよう吊り上げるポイント部分のみ強度を上げているために印としてつけています。
<国際輸送は最適な梱包が必要不可欠>
ここまで梱包の重要性や種類について説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
梱包はダメージリスクを最小限に抑え、安全に輸送するためにしっかりと対応する必要があります。
RIS Logistics合同会社では、梱包についてのアドバイス、梱包対応も可能です。