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インコタームズとは

貿易関係の仕事をしている中で必ず耳にする「インコタームズ」。

今回は貿易条件の国際ルールである「インコタームズ」について詳しく解説していきます!

 

<インコタームズ2020とは?>

 

国際的な取引では、それぞれの商流に応じて物流手配や費用の担い手が変わるので、                 責任範囲などがあやふやになりやすいです。

そのため、売り手と買い手のどちらが輸送の手配や万が一に備えた保険手配を行うかを明確にし、            誤解や行き違いなどの取引上のトラブルを防ぐ必要があります。

インコタームズとは、貿易上の責任範囲と費用負担を定義した貿易条件で、                     貿易取引における「危険負担」「費用負担」「保険負担」を売り手と買い手どちらが行うべきかが明記されています!!

輸送中に起こりうるリスクに対して持つ責任の範囲や輸送にかかる費用をどう分担するか、が定義されていることにより共通認識のもとで取引することができ、解釈の違いによるトラブル発生のリスクを大幅に軽減することができるのです。

 

危険 (Risks)とは・・?

貨物ダメージに繋がる事象(=輸送中の事故)の発生する可能性のこと。

買主または売主は、貨物保険の加入によって事故時の損害による経済的なリスクを軽減することができます。

費用(Cost)とは・・?

貨物輸送におけるどこの費用までを負担する義務を負うのかのこと。

売主と買主の負担範囲を明確にする必要があります。

 

インコタームズで定義されていない情報

 

インコタームズでは、貨物の所有権に関する定義はされていません。

インコタームズによって費用負担などは変わっても、所有権は移転されるとは限らないのです!

 

<インコタームズの規則について・インコタームズ2020の全11条とは?>

 

ここまで広くインコタームズについて解説してきましたが、ここからはもう少し細かい部分まで解説していきたいと思います!

10年ぶりに改訂された2020年版は危険負担と費用負担の範囲によって分けられ、全部で11種類の規則から成り立っているのです!!

こちらの図では

濃い青色:売主である輸出者が物流費用を負担する範囲

水色:買主である輸入者が費用を負担する範囲

黄色の点:貨物の危険負担がうつるポイントであり、輸入者の自己の責任の範囲

を表しています!!

 

インコタームズ全11条

 

・EXW(Ex works):工場渡し

EXはFROM、WORKSは工場という意味で、売主の工場まで買主に商品を取りに来てもらい、そこで危険負担と費用負担がうつる条件です。つまり、買主が出荷プロセスの大部分のコストとリスクを負担し、売主は買主が商品を入手できるようにするだけでOK!売主は引き渡し場所を指定し、買主に商品を引き渡すだけで、売主側が最も楽な方法です。

 

・FCA(Free Carrier):運送人渡し

輸出国側指定の場所で危険負担と費用負担がうつる条件で、売主は指定の場所で買主の運送業者に渡す必要があります。そのため、売主の敷地内で責任がうつる場合もあれば、敷地内ではない指定された場所で映る場合があります。売主は品物の輸出通関も手配する必要があり、コンテナ輸送では主流な方法になります。

 

・FAS:Free Alongside Ship (船側渡し)

商品が船の隣に配達されるまで売主がすべてのコストとリスクを負担する条件です。その後買主がリスクを引き継ぎ、輸出入通関の手配をします。

 

・FOB(Free on Board):本船渡し

輸出国から出航する船に積み込まれた時点で貨物の危険負担と費用負担がうつる条件です。売主は本船に積み込まれるまでのすべてのコストとリスクを負担し、輸出通関の手配も行う必要があります。買主は輸出国から輸入の船を手配、負担をします。

 

EとFから始まる条件は、リスクとコスト負担の切り替わるタイミングが合致しています。

しかし、そのタイミングが異なるものもあります!

 

・CFR(Cost and Freight):運賃込み

リスクの移転はFOBと同じタイミングの船に積み込まれる時点ですが、商品を到着港に運ぶまでの運賃も売主が負担する条件です。買主は品物が積み込まれた直後からリスクを含むすべての責任を負います。危険負担の切り替えポイントと費用負担のポイントが異なる点に注意です!

 

・CIF(Cost, Insurance and Freight):運賃保険料込み

CFR条件に保険料も売主負担として加えたものの条件です。いわゆるシフ条件などとも呼ばれています。しかし、売主は最小限の保険(請求書の価値の110%以上を保証するもの)のみ購入する必要があり、より包括的な保険が必要な場合は、費用は買主が自己負担する必要がありが手配は買主が行います。危険負担と費用負担の分岐点が異なるので注意です!

・CPT (Carriage Paid To (輸送費込み)

売主はFCAと同じ輸出国側指定の場所まで責任を負い、輸出通関を手配しますが、FCAと違い、売主が運送業者を手配し、輸送費を負担する条件です。商品を運送業者に引き渡した後にリスクが買主にうつります。FCAと同様コンテナ船利用のために作られた条件。

・CIP (Carriage And Insurance Paid To (運送費と保険料込み)

売主の責任はCPTと同じ輸出国の指定の場所までですが、それに加え、目的地までの料金と保険料を負担する条件です。買主がより包括的な保険を必要としている場合、買主が自己負担する必要あり、買主が指定した運送業者が商品を受け取るとリスクは売り主から買主にうつります。

 

Dの条件になると、輸入港を超えてさらに内陸まで輸送を買主が行う条件になります。

 

・DAP(Delivered at Place):仕向地持込渡し

輸入国側の指定場所でリスクと費用負担が買主にうつる条件です。売主が指定の住所に品物を輸送するコストとリスクを負担しますが、荷卸しをせずに買主に引き渡します。品物が指定の住所において荷卸しできる状態になった時点でリスクが買主にうつります。

 

・DPU (Delivered at Place Unloaded):荷卸込持込渡し

売主が品物を指定の荷卸し場所まで輸送するためのコストとリスクを負担し、荷卸し場所に商品を荷卸すまでの責任を持つ条件です。つまり、荷卸しの際のコスト負担や商品破損のリスク負担は売主にあります。これはインコタームズ2010で規定されていたDATと同じものになります。買主は、輸入通関および関連の関税を負担します。

 

・DDP(Delivered Duty Paid):関税込持込渡し

DAPの条件に加え、売主に輸入通関義務が追加される時の条件です。つまり、関税の負担を売主が行うということになり、売主が輸入国側の任意の場所につくまでのほぼすべての責任を負います。買主が最も楽な方法です。

 

以下は全11条をまとめた一覧表です。

全ての輸送手段に適した条件

→EXW,FCA,CPT,CIP,DAP,DPU,DDP

 

船舶輸送にのみ敵した条件

→FAS,FOB,CFR,CIF

 

以上が11個のインコタームズになります!!

このように、どのインコタームズを用いるかによって、売主と買主の責任範囲は大きく異なります。そのため、取引において最優先したい事項に基づいて、最適なインコタームズを採用することが取引において重要になるのです

 

<インコタームズ2010からの変更点>

 

インコタームズは2020年に新しく改定されました。 では、どのような点が変更されたのでしょうか??

変更点は7つで、

  1. 積載済みの付記のある船荷証券とインコタームズのFCA規則
  2. 列挙された費用の分担
  3. CIF及びCIPのおける保険の補償範囲の違い
  4. FCA、DAP、DPU及びDDPにおいて、売主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配
  5. DATからDPUへの変更
  6. 輸送の義務と費用において安全に関する要求
  7. 利用者のための解説ノート

になります!!

 

なかでも大きな変更点は5のDATが廃止され、代わりにDPUが新設されたことです。

2010ではターミナル持込渡し「T(Terminal)」だったのが、この変更にともなって仕向け地はターミナルに限定されず、任意の場所「P(place)」とされています。

しかし、到着した手段から荷卸しされた後に危険負担と費用負担が売主から買主に移転するのはどちらも同じです。

 

1936年の制定以来、これまで何度も改定が行われています。

今後も改定される可能性があるので、最新のインコタームズを把握していことが大切になります!

 

<まとめ>

 

インコタームズについて少しでも理解を深めていただくことはできましたでしょうか。

契約の時にインコタームズについて理解した上で、輸出者・輸入者の間で明確にしておかなければ、後々トラブルの原因になってしまうこともあります・・

国際的な取引の際の共通認識として欠かせない、重要な役割を果たしている「インコタームズ」。

各条件の詳細について曖昧になってしまった際はぜひこちらの記事を読み返してみてください!

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